生活道路は時速30キロに。姫路の住宅街で「知らなかった」では済まない理由と、事故の過失割合への影響
2026/10/20
2026年9月1日、道路交通法施行令の改正が施行され、中央線のない「生活道路」の法定速度が時速60キロから30キロに引き下げられました。施行から1か月半が経ちましたが、報道によれば、損害保険会社の調査では改正の内容を詳しく知らない人が6割前後にのぼり、10月に入ってからは国会でも「実態に合わない道路がある」として、標識による見直しを求める質問が出ています。
姫路は、城下町の町割りがそのまま残る旧市街の路地、住宅街の生活道路、播磨平野に広がる農道と、「中央線のない道路」がとても多い街です。今回は、何が変わったのか、違反するとどうなるのか、そして私が普段お手伝いしている交通事故の被害者の方にとって何が変わるのかを整理します。
何が変わったのか:対象になる道路の見分け方
新しいルールはシンプルです。中央線(センターライン)も車両通行帯もない一般道路は、法定速度が時速30キロになりました。中央線や車両通行帯がある道路、中央分離帯や柵で上下線が分かれている道路、自動車専用道路は、これまでどおり60キロのままです。
注意したいのは、標識がある道路では標識の速度が優先されることです。中央線がなくても「40」の標識があれば40キロですし、逆に道幅が広くても中央線がなければ30キロです。これまでは学校周辺などで「ゾーン30」として指定された区域だけが30キロでしたが、今後は指定の有無にかかわらず、中央線のない道路すべてが対象になります。兵庫県も県警のチラシなどで周知を進めています。
姫路でいえば、住宅街の生活道路や旧市街の一方通行の路地はほぼすべて対象です。田んぼの間を走る農道については、管理者が引いた線が道路交通法上の「中央線」に当たらない場合があるとされ、警察庁の統一的な見解はまだ示されていません。迷ったら30キロで走る、というのが現時点で一番安全な考え方です。
違反するとどうなるか
速度超過の反則金(普通車)は、15キロ未満の超過で9,000円(1点)、15キロ以上20キロ未満で1万2,000円(1点)、20キロ以上25キロ未満で1万5,000円(2点)、25キロ以上30キロ未満で1万8,000円(3点)です。
そして、一般道路で30キロ以上の超過は反則金制度の対象外です。いわゆる赤切符となって刑事手続に進み、違反点数は6点で免許停止になります。中央線のない道路をこれまでの感覚で時速60キロで走ると、8月までは適法だった速度が「30キロ超過」として刑事事件になる。これが今回の改正で一番大きく変わった点です。
なお、違反をしただけでは自動車保険の等級は変わりませんが、違反歴によっては次の免許更新でゴールド免許でなくなり、保険料の割引が受けられなくなることがあります。
事故になったとき:過失割合はどう変わるか
交通事故の過失割合は、事故の類型ごとに決まっている「基本の割合」に、個別の事情を「修正要素」として加減して決めます。速度超過は代表的な修正要素で、一般に、一般道路での15キロ以上30キロ未満の超過は「著しい過失」として10%程度、30キロ以上の超過は「重過失」として20%程度、速度を出していた側に過失が加算されます。
今回の改正によって、生活道路で時速40〜50キロで走っていた車は「速度違反をしていた車」になりました。歩行者や自転車で事故に遭った被害者の側から見ると、相手の速度を立証できれば、過失割合が有利に動く可能性があります。
そのために大切なのが証拠です。ご自身や相手、周囲の車のドライブレコーダー、付近の防犯カメラ、実況見分調書に記録されるブレーキ痕や衝突位置、車両に記録されるイベントデータなどが手がかりになります。警察の実況見分では、相手の速度について感じたことを「速かった気がする」ではなく、できるだけ具体的に伝えてください。
逆に、ご自身が運転していて事故に遭った場合、速度超過があると被害者であっても過失割合が不利になります。また、保険会社からの提示は基本の割合のままで、こうした修正要素が反映されていないことも少なくありません。提示された過失割合に納得できないときは、一度ご相談ください。
弁護士の所感
私見ですが、「30キロ」という数字は、捕まるかどうかの数字ではなく、ぶつかったときにどうなるかの数字だと思っています。歩行者が車にはねられた場合の致死率は、衝突速度が時速30キロを超えると急激に高まることが知られています。姫路の生活道路を歩く子どもや高齢者を守るための制度として、私はこの改正を前向きに受け止めています。
一方で、実態に合わない道路については標識で調整されるべきで、国会でも議論になったとおり、警察庁の今後の運用を注視したいところです。被害に遭われた方には、「相手が生活道路でスピードを出していた」という事実が、過失割合の重要な争点になり得ることを知っておいていただきたいと思います。
ご相談について
生活道路での事故で、過失割合や賠償額の提示に納得できない方は、初回のご相談は無料です。ご相談受付専用の電話(050-7587-8673、平日9:00〜19:00)または無料相談のご案内からご連絡ください。受付時間外は留守番電話での対応となります。
関連ページ
参考:兵庫県「自動車の交通安全(生活道路の法定速度の引き下げ)」、警察庁・兵庫県警察の周知資料、各社報道(2026年10月)
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弁護士 川手涼平(姫路駅前法律事務所 所属)
住所 : 兵庫県姫路市十二所前町83
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