盗撮で家族が逮捕された。いつ帰れるのか、面会・差し入れ・会社への説明・被害者への謝罪について、姫路の相談室でよく聞かれる5つの質問
2026/10/22
夜の9時過ぎ、知らない番号から電話が鳴ります。「姫路警察署です。ご主人を逮捕しました」。それだけ言われて、どこに行けばいいのか、何を持っていけばいいのか、会社には何と言えばいいのか、何ひとつ分からないまま朝を迎える。盗撮の事件で私のところに相談に来られるご家族の多くが、そういう一晩を過ごしています。
報道によれば、2026年10月5日にも加古川市の商業施設のトイレで盗撮をしたとして、20代の男性が性的姿態撮影等処罰法違反の疑いで逮捕されています。警察庁の調査では、2025年に全国で検挙された撮影罪(ひそかに撮影)は7,926件で、前年より25%以上増えました。使われた機器の8割はスマートフォンです。特別な人の特別な事件ではなく、ある日突然、どこの家にも起きうる事件になっています。
ここでは、逮捕の電話を受けたご家族から相談室で実際によく聞かれる質問を、聞かれる順に並べてお答えします。
いつ帰ってこられるのですか
最初に聞かれるのは、ほぼ例外なくこれです。
逮捕されると、警察は48時間以内に事件を検察庁に送るかどうかを決め、送られた先の検察官は24時間以内に、裁判所に勾留(こうりゅう。引き続き身柄を留めておくこと)を請求するかどうかを決めます。姫路市内で逮捕された事件なら、送致先は神戸地方検察庁姫路支部、勾留を決めるのは神戸地方裁判所姫路支部です。逮捕から最長72時間のあいだに、釈放されるか、勾留されるかが決まります。
勾留が決まると原則10日、延長されればさらに最長10日、警察署の留置施設にいることになります。
正直に申し上げると、盗撮は、事実を認めていて家族も仕事もある方でも、勾留される例がそれなりに多い類型です。それでも、初めての事件で、事実を認めていて、住所と仕事があり、身元引受人になるご家族がいることは、勾留されずに釈放される方向に働く事情です。この最後の条件を整えるのはご家族にしかできません。弁護士が検察官や裁判官に「この人には帰る家があり、監督する家族がいる」と伝えるとき、その裏付けになるのが身元引受書です。逮捕の翌日の午前中までに、誰が引受人になるかを決めておいていただけると、動きが早くなります。勾留が決まってしまった場合にも、その決定に不服を申し立てて釈放を求める手続(準抗告)があります。
面会はできますか。着替えと薬を届けたいのですが
逮捕されてから勾留が決まるまでの最初の2〜3日は、ご家族であっても面会は原則としてできません。会えるのは弁護士だけです。だから私は、逮捕の連絡を受けた方から依頼があれば、可能な限り当日中に警察署に向かいます。本人が今どういう状態で、何を認めていて、何に困っているかを、ご家族に代わって確かめるためです。
勾留が決まったあとは、留置施設での一般面会ができるようになります。多くの警察署では平日の日中に限られ、1回の時間は短く、係官の立会いがつきます。警察は夜中でも電話をかけてくるのに、面会のほうは役所と同じ時間帯しか開いていません。平日に仕事を抜けて姫路警察署や飾磨警察署まで行く段取りも、ご家族の負担のひとつです。
差し入れは、面会ができる期間なら、着替え、現金、本などを留置担当の窓口から入れられます。ひもの付いた衣類や厚い本など、施設ごとに受け付けないものがあるので、持っていく前に電話で確かめてください。持病の薬は、本人に直接手渡すのではなく、留置担当の係官を通して扱われるのが一般的です。薬が必要な方は、薬の名前と処方元を控えて、早めに警察署に伝えておいてください。
事件によっては「接見禁止」といって、弁護士以外の面会を裁判所が禁じることがあります。ただ、単独の盗撮事件で本人が事実を認めている場合には、つけられないことのほうが多いというのが私の経験です。
会社には何と言えばいいのでしょうか
これは答えがひとつではありません。
まず押さえておきたいのは、警察や検察が勤務先に連絡することは、事件の内容が勤務先と関係しない限り、多くはないということです。勤務先が知る経路は、本人が出勤できない日が続くこと、そして本人自身やご家族の説明です。つまり、会社への説明は「何を、どこまで、誰が言うか」を、本人とご家族が弁護士と相談しながら決められる問題です。
釈放が数日で見込めるのか、勾留が10日に及びそうなのかで、伝え方も時期も変わります。本人の希望を確かめないまま、ご家族が先回りして会社に事件の内容を話してしまうと、あとで取り返しがつきません。かといって、何も言わないまま無断欠勤が続くのも避けたいところです。弁護士が本人に面会して「会社にはどう伝えたいか」を聞き、それをご家族に伝えることができますので、会社への連絡は、その内容と時期を弁護士と相談してから決めてください。
公務員の方、教員、医療・福祉の資格をお持ちの方は、処分の内容によって懲戒や資格に影響が出る可能性があるので、報告のしかたと時期を、処分の見通しとあわせて考える必要があります。
被害者の方に、家族として謝りに行ったほうがいいですか
お気持ちはよく分かるのですが、やめてください。
盗撮の事件では、ご家族は被害者の方の名前も連絡先も知らないのがふつうです。警察や検察は、多くの場合、本人やご家族には連絡先を教えません。被害者の方の連絡先は、相手が「弁護士になら伝えてもよい」と応じた場合に、弁護士に知らされるのが通常の流れです。被害者の方への謝罪と示談の申し入れは、多くの場合、弁護士を通じて行うことになります。
撮影罪の法定刑は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。初めての事件で示談が成立し、被害者の方から「処罰は求めない」という意思を示していただければ、不起訴となる可能性があります。示談ができなければ、略式起訴で罰金となり、前科がつく可能性があります。この分かれ道が、逮捕から数週間のあいだに来ます。
ご家族にお願いしたいのは、謝罪の手紙を書くことでも、被害者の方を探すことでもなく、示談に向けて動ける体制を家の中で整えることです。示談金をどう用意するか、本人の再発防止のためにどこに相談するか。その準備が、弁護士が被害者の方と話すときの重みになります。
スマホを持っていかれました。家にあるパソコンも調べられますか
盗撮で逮捕されたとき、スマートフォンはほぼ確実に押収されます。中の画像は解析され、他の日に撮ったものが出てくれば余罪として扱われます。令状があれば、自宅のパソコンや外付けの記録媒体が捜索・押収の対象になることもあります。
ここでご家族に、ひとつだけ強くお願いしていることがあります。家に残っているパソコンや記録媒体のデータを、ご家族の判断で消さないでください。よかれと思ってしたことでも、他人の刑事事件の証拠を消す行為は証拠隠滅罪にあたるおそれがあり、本人の「反省している」という主張も根拠を失います。触らずにそのままにして、弁護士に状況を伝えてください。
押収されたスマートフォンは、捜査が終われば返ってきますが、時期は事件によって違います。仕事の連絡先が全部その中にある、という方は多いので、ご家族が会社や取引先への連絡をどう肩代わりするかも、早めに相談しておきたいところです。
私見ですが、ご家族が最初の24時間にすることは二つだけです
相談室でご家族に「まず何をすればいいですか」と聞かれたとき、私はいつも「身元引受人を決めること」と「弁護士に連絡すること」の二つだと答えています。着替えの用意も会社への連絡も、そのあとで間に合います。
逮捕された本人を責める言葉は、面会ができるようになってからいくらでも言えます。けれども、勾留されるかどうかは最初の72時間で決まり、被害者の方と話せる機会は一度きりかもしれません。ご家族が早く動くほど、本人が家に帰れる時期と、事件の終わり方の選択肢が広がります。
釈放されて、ご自身でこの記事を読んでいる方もいらっしゃると思います。家に帰れたことと事件が終わったことは別で、被害者の方との示談は、むしろここからが本番です。検察官が処分を決める前に示談を整えられるかどうかで、事件の終わり方が変わります。
逮捕の電話を受けたその日に、あるいは釈放されたその日に、ご相談ください。ご相談受付専用の電話は050-7587-8673、平日9:00〜19:00につながります。受付時間外は留守番電話での対応になります。初回のご相談は無料です(無料相談のご案内)。
関連ページ:痴漢・盗撮で逮捕・呼び出しを受けた方へ/逮捕・勾留からの釈放/示談交渉/警察からの呼び出しを受けた方へ
参考:警察庁「令和7年中の痴漢・盗撮事犯に係る検挙状況の調査結果」/性的姿態撮影等処罰法(性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律)/刑事訴訟法203条・205条・208条/神戸新聞NEXT 2026年10月5日
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弁護士 川手涼平(姫路駅前法律事務所 所属)
住所 : 兵庫県姫路市十二所前町83
KS東ビル2階 姫路駅前法律事務所内
電話番号 : 050-7587-8673(ご相談受付専用)
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